#18『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ミニッツライナー(116分)

ミニッツライナーとは?
映画本編ごとに止めて
「だれが」「なにをした」
かだけをずつ書いていくことで  
映画の構造をより深くたのしむ方法です
_SL1000_






どうもこんにちは、映画ブログ界の浜村淳です
今回は3部作映画特集 PART1の第1回
バック・トゥ・ザ・フューチャー』をミニッツライナーしていきます 

世界一売れた近親相姦SF。映画の予告編で初めて(今や何を指しているのかわからない)「全米No.1」のコピーが使われた作品
ちなみに「フューチャー現象と呼ばれる言葉は公開当時の大ヒットを広告・宣伝等で表現する為に「アメリカで“フューチャー現象”爆発!」と題したものであって、これに該当する事実はなく誤認される場合が多い


目次

【前半】

#18『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ミニッツライナー(116分)
読めばいつでも映画を思い出せるように「だれが」「なにをした」かだけで書きました
今回は映画で「新しい情報・伏線が登場した箇所」またその「伏線が回収された箇所」併せて全てを追記しました


【後半】

まとめ&15分解説
「ハリウッド映画の三幕構成 伏線の持続編」

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がもっとおもしろくなる!映画を教科書のようにわかりやすくした解説です


それではどうぞ



1985年公開『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 上映時間116分

Back to the Future
監督 ロバート・ゼメキス
脚本 ロバート・ゼメキス
ボブ・ゲイル

※数字は上映時間の分です
丸数字は新しい情報・伏線を追記しています
>は丸数字の伏線が回収された箇所です

1.時計たち、時間を刻む
 ①新聞記事「ブラウン屋敷跡が売られ住宅地に」
 ②時計台で宙吊りになった男の絵

2.テレビ、プルトニウムが2週間前に原子力研究所から盗まれた事件を報じる
 ③ビデオカメラ
 ④トヨタのバーゲンCM

3.マーティ、ドクの家を訪ねる
 ⑤プルトニウムのケース
4.マーティ、ギターにアンプを繋いで弾く
5.ドク、マーティに電話をかけ1時15分にモールに来るように約束させる
6.マーティ、ドクから時計が25分遅れていたことを知りドクの家を出る
7.マーティ、学校に到着しジェニファーに会う
 ⑥スケートボードで走る
 ⑦ルゥの店

8.先生、遅刻してきたマーティにバンドのオーディションには受からないと忠告
 ⑧ドクについて
 ⑨マーティの父について
 ⑩マクフライ家は代々落ちこぼれ

9.マーティ、バンドのオーディションに落ちる
 ⑪ゴールディ・ウィルソン市長の街宣車
 ⑫ギターに自信がないマーティ

10.マーティ、ジェニファーに4WDに乗せてあげると約束
 ⑬マーティの父が明日車を貸してくれる
 ⑭ガソリンスタンドのテキサコ

   2.>④トヨタのバーゲンCM
11.ジェニファー、マーティに電話番号を教えて帰る
 ⑮明日はデート
 ⑯マーティの母について
 ⑰1955年の落雷で止まった時計台取り壊しに抗議する歴史保存協会のチラシ

12.マーティ、帰宅。事故で壊れた車がレッカーされる
 ⑱リオン住宅地の門口
13.ビフ、ジョージに欠格車だったと主張。修理代とクリーニング代と報告書を要求
 ⑲ビフは頭を小突く
14.ビフ、ジョージを責めマーティを睨んでマクフライ家を出る
15.ジョージ、マーティに謝る
 ⑳ロレインの酒癖
 ㉑ジョーイおじさんの釈放
   8.>⑨マーティの父について

10.>
⑬マーティの父が明日車を貸してくれる
16.デイヴィッド、夕食中家を出る
 ロレイン、頬にキスさせる
 ジョージ、デイヴィッドの冗談に笑う
 リンダ、マーティにジェニファーから電話があったことを教える

11.>
⑯マーティの母について

17.ロレイン、ジョージとの馴れ初めを語る
 ㉒ジョージが家の前で車に撥ねられる
 ㉓魅惑の深海ダンスパーティー
 ㉔雷が落ちる
 ㉕はじめてのキス
 ㉖『The Man from Space』の再放送

18.マーティ、ドクに電話でビデオカメラを持ってくるように言われモールに到着
   2.>③ビデオカメラ
19.ドク、箱車からデロリアンを出す
   8.>⑧ドクについて
20.ドク、アインシュタインをデロリアンに乗せる
 ㉗ビデオを撮影
21.ドク、リモコンでデロリアンを動かす
22.デロリアン、時速140キロで走り目の前で消える
23.ドク、アインシュタインが1分先の未来に居ることを説明
24.デロリアン、アインシュタインを乗せて帰ってくる
25.ドク、マーティにデロリアンの操作方法を説明
26.ドク、1955年11月5日にタイム・トラベルを着想したと語る
 ㉘トイレで転び頭を洗面台にぶつける
 ㉙松の木の畑

27.ドク、動力源のプルトニウムをリビアの過激派から盗んだことを明かす
 ㉚1.21ジゴワット
 ㉛放射線防護服
   3.>⑤プルトニウムのケース
28.ドク、プルトニウムを交換。未来に行くことを明かす
29.リビアの過激派、ドクを襲撃
 ㉜プルトニウムは1回の旅に1本
30.リビアの過激派、ドクを射殺
 マーティ、デロリアンに乗り込む

31.リビアの過激派、ロケットランチャーを構える
32.マーティ、デロリアンで時速140キロを走り納屋に突っ込む
33.マーティ、納屋を出て助けを求める
27.>※㉛放射線防護服
34.マーティ、銃で撃たれデロリアンで逃走。開発前のリオン住宅地の前で停まる
 ㉝SF雑誌の宇宙人
 松の木を倒す
26.>㉙松の木の畑
12.>⑱リオン住宅地の門口

35.マーティ、プルトニウムが無くなりデロリアンを隠す
 ㉟
エンジンがかからない
 持ってきたウォークマン
 持ってきたビデオカメラ
29.>㉜プルトニウムは1回の旅に1本

36.マーティ、ヒル・バレーに到着
 ㊳ロナルド・レーガン主演の映画
10.>⑭ガソリンスタンドのテキサコ

37.マーティ、新聞で1955年11月5日の日付を確認
11.>※⑰1955年の落雷で止まった時計台取り壊しに抗議する歴史保存協会のチラシ
   9.>※⑪ゴールディ・ウィルソン市長の街宣車

38.マーティ、ドクに電話をかけるも出ず
 ㊴ドクの住所が載った電話帳の一片
   7.>⑦ルゥの店

39.ビフ、ジョージに宿題をやったか尋ねに来る
13.>⑲ビフは頭を小突く
40.マーティ、隣の客にジョージ・マクフライかと質問
41.ゴールディ・ウィルソン、マーティから市長になると言われ調子付く
37.>⑪ゴールディ・ウィルソン市長の街宣車
42.マーティ、ジョージを助けて車に撥ねられる
17.>
ジョージが家の前で車に撥ねられる
43.マーティ、目が覚める
44.ロレイン、マーティに名前を質問
45.ロレイン、マーティの隣に座る
46.マーティ、ベインズ家で夕飯を食べる
15.>㉑ジョーイおじさんの釈放
17.>㉖『The Man from Space』の再放送

47.マーティ、リバーサイド通りがどこか質問
38.>ドクの住所が載った電話帳の一片
48.マーティ、リバーサイド通りのドクの家に到着
   1.>①新聞記事「ブラウン屋敷跡が売られ住宅地に」
49.ドク、脳波分析器でマーティを調べる
50.マーティ、ドクに未来から来たことを明かす
 兄弟の写真
36.>㊳ロナルド・レーガン主演の映画

51.マーティ、ドクがタイムトラベルを着想したキッカケを明かす
26.>㉘トイレで転び頭を洗面台にぶつける
52.ドク、デロリアンを見る
53.マーティ、ドクにビデオを見せる
35.>持ってきたビデオカメラ
20.>㉗ビデオを撮影

27.>
㉚1.21ジゴワット

54.ドク、動力源を作れないと告げる
55.ドク、マーティが渡したジェニファーの電話番号の紙を見る。次の土曜の午後10時4分に給電しようと企てる
 ㊶タイトルを回収
37.>⑰1955年の落雷で止まった時計台取り壊しに抗議する歴史保存協会のチラシ

56.ドク、マーティに兄姉の写真を見せるように頼む
50.>兄弟の写真
57.マーティ、ジョージが車に轢かれた馴れ初めを思い出す
 ㊷「ヘビーだ」
   8.>⑩マクフライ家は代々落ちこぼれ

58.マーティ、ロレインにジョージを紹介する
 ドク、ロレインがマーティにホの字だと指摘
 「ヘビーだな」
59.ドク、マーティにジョージからロレインをダンスパーティーに誘わせるように指示
17.>㉓魅惑の深海ダンスパーティー
60.マーティ、ジョージにロレインをダンスパーティーに誘うよう提案
 SF小説に自信がない
   9.>※⑫ギターに自信がないマーティ
61.マーティ、ロレインに絡むビフに掴みかかる
 「その汚い手をどけろ!」
62.ジョージ、マーティの提案を断る
63.マーティ、寝ているジョージにへヴィメタルを聴かせダースベイダーを名乗る
 キックスケーターに乗る子供
33.>㉛放射線防護服

34.>㉝SF雑誌の宇宙人
35.>持ってきたウォークマン
57~58.>※㊷「ヘビーだ」

64.マーティ、決心がついたジョージにルウの店に居るロレインをダンスパーティーに誘うように指示
65.ジョージ、ロレインに決め台詞を言う
66.マーティ、邪魔に入ったビフを殴って逃げる
67.マーティ、スケートボードを作りビフから逃走
63.>キックスケーターに乗る子供
   7.>⑥スケートボードで走る

68.マーティ、ドクの家に到着
69.ドク、マーティがビデオの続きを言おうとしたので止める
70.ドク、模型でデロリアンに給電する計画を説明
71.ロレイン、ドクの家を訪ねる
72.ロレイン、マーティにダンスパーティーへ誘ってほしいと頼む
73.マーティ、ジョージに男らしさを見せろと指示
74.マーティ、ジョージにダンスパーティーの段取りを説明
61.>※㊹「その汚い手をどけろ!」
75.ドク、マーティに礼を言う
76.マーティ、ビデオの続きに起きた出来事を手紙に書く
77.ジョージ、ダンスパーティーの会場で待つ
 
手紙をドクの上着のポケットに入れる
78.ロレイン、マーティが停めた車で酒を飲む
20.>⑳ロレインの酒癖
79.ロレイン、煙草を吸い上着を脱ぐ
80.ロレイン、マーティにキスするもヘンだと言う
81.ビフ、ロレインを襲いマーティをトランクに閉じ込めさせる
82.ジョージ、ビフに遭遇
83.ジョージ、ビフを殴る
 
トランクを開けるために手を怪我
74.>「その汚い手をどけろ!」
84.ジョージ、ロレインとダンスパーティーの会場へ向かう
 
兄姉の写真を見る
85.マーティ、手を怪我したマーヴィンの代わりにギターを弾く
83.>トランクを開けるために手を怪我
86.ジョージ、ロレインを盗られるも奪い返す
17.>㉕はじめてのキス
84.>
兄姉の写真を見る

87.マーティ、マーヴィンにもう1曲頼まれマイクに立つ
88.マーティ、ロックンロールを弾く
89.マーティ、へヴィメタルを弾く
60.>⑫ギターに自信がないマーティ
63.>「ヘビーだ」

90.ロレイン、マーティに帰りはジョージに送ってもらうと明かす
91.マーティ、ロレインとジョージにふたりの間にできた子供の1人が8歳になったとき居間のカーペットに火をつけるけど叱らないでと忠告
92.マーティ、ドクの元に遅れて到着
93.ドク、マーティにアラームが鳴ったら発車しろと説明
 マーティ、ドクを抱き締める

94.ドク、ポケットから手紙をみつけて破る
 ㊾
破れた手紙
77.>手紙をドクの上着のポケットに入れる
17.>㉔雷が落ちる

95.ドク、時計台側のケーブルが外れ繋ぐために時計台に登る
96.ドク、ケーブルを受け取りマーティを行かせる
97.マーティ、デロリアンの後部にポールを立てる
98.マーティ、戻る時間をドクが死ぬ10分前に設定する
 ドク、時計の針で宙吊りになる
35.>エンジンがかからない
   1.>②時計台で宙吊りになった男の絵

99.ドク、ケーブルを捕まえる
 マーティ、エンジンがかかり発車させる

100.ドク、時計台側のケーブルを繋げる。電柱側のケーブルが外れる
101.ドク、電柱側のケーブルを繋げる
 デロリアン、ポールが接触して消える

102.デロリアン、劇場に突っ込む
103.マーティ、リビアの過激派が乗る車を走って追いかける
98.>エンジンがかからない
104.マーティ、デロリアンで1955年11月5日に行く自分を見る
34.>松の木を倒す
105.ドク、起き上がり防弾チョッキを確認する
106.ドク、マーティにテープで繋ぎ合わせた手紙を渡す。マクフライ家まで送り届け30年後に行くことを明かす
94.>破れた手紙
107.マーティ、目を覚ます
108.マーティ、デイヴィットとリンダとロレインとジョージに会う
109.ロレイン、ジェニファーを褒める
 ビフ、ジョージの車にワックスをかける

110.マーティ、倉庫から4WDをみつける
 ジェニファー、マクフライ家を訪ねる
60.>SF小説に自信がない
11.>⑮明日はデート

111.ドク、マクフライ家を訪ねデロリアンの後部にゴミを入れる
55.>タイトルを回収
112.デロリアン、空を飛ぶ
113.エンドロール
114.エンドロール
115.エンドロール
116.エンドロール







まとめ

15分 マーティ、学校から帰る
30分 マーティ、デロリアンに乗る
45分 ロレイン登場
60分 マーティ、ジョージにロレインを誘わせる
75分 ダンスパーティーの段取り
90分 マーティ、ダンスパーティーでギターを弾く
105分 ドク、生還
ラスト マーティ、4WDを手に入れる


次は、ミニッツライナーで見えた 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のストーリーを15分ごとに解説していきます





15分解説
ハリウッド映画の三幕構成

      伏線の持続編
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の特徴は何と言っても「情報を出し入れする上手さ」「フリの上手さ」にあります
長い時間何度も叩かれ、インデックス・カードで磨かれ練りこまれた脚本には
映画に出てくる要素や出来事には必ずその手前でフリ。「伏線」が効いています
今回は映画の情報が、そんな風に動いていたのかの経緯をより詳しく15分ごとに三幕構成と併せて解説していきます







15分まで マーティ、学校から帰る
映画が始まって最初の15分は映画の顔とも呼ぶべき、これがどんな映画なのかを観客に紹介する場面です。これを「映画の紹介」と呼んでいます。「映画の紹介」では3つのことが紹介されます
①主人公と主要人物
②映画のスタイル
③ラストまで扱う情報
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の場合映画が始まって最初の15分間は、マーティが朝ドクの家に寄って学校から帰って来るまでが丁度15分です
場面は流れるように展開していき「映画の紹介」はスムーズに行われています


『レディ・プレイヤー1』より
ひとつ例をあげるなら『レディ・プレイヤー1』の冒頭。ウェイドがトレーラーハウスを出てオアシスに入りレースに参加して大きな山場を見せアルテミスを登場させて最初にオアシスから出るまでがDVDで確認してみてください丁度20分です15分じゃないのかい
この間ウェイドは家を出てから一度も足を止めずに現実の世界とオアシスについて語り続けることでシームレスな場面転換とイースターエッグ探しの状況説明を両立させています


映画においてキャラクターの性格や今考えていることは全て行動にして画面に表されています
ドクの家に訪れたマーティが最初にとる行動は「ギターを弾く」ことです。他にも沢山の発明品が映っていたにも関わらず、ギターを選んだ。この行動を最初に見せることで、これが今の彼が惹かれている興味でありマーティというキャラクターの紹介です(ここで失敗しているのが次のフリになっています)
次にマーティが学校に行くとバンドのオーディションに落ちてしまうことで「ギターに自信がないマーティ」という主人公がこの物語で解決する葛藤。1つ目満たされない状況・キッカケが設定されます


学校に行ってからヒル・バレーでジェニファーとお喋りするまでの間、マーティが初めて色んな人物と対話しますが
全てその場に居ないまだ映っていない人物の話をしています。これが映画のスタイル「伏線」の紹介です


そこで10分目
10.マーティ、ジェニファーに4WDに乗せてあげると約束
 ⑬マーティの父が明日車を貸してくれる
 ⑭ガソリンスタンドのテキサコ

①このときに傷ひとつないピカピカの車が映されます
②次に、夜が更けてマーティが帰ると家にレッカー車とボロボロのスクラップが映ります
③そして、家のドアを開けると中でヒヨワな男が大きな男にガミガミと怒鳴られている光景が映され
④最後に黙っていたマーティが一言「明日の晩の大事な予定が、これでパアになった」

この間、家にあったスクラップが「マーティの父の車」であることが直接的な台詞で一切説明されません
マーティの父の車の話をしながらピカピカの車を映すことで実際にあるんだという存在を印象付け
レッカー車を見せることで運ばれてきたのが車なんだと連想させ
その家に居るはずのマーティの父を誰かと対話させることで、そのリアクション・行動でジョージを紹介し
最後にマーティが「明日の晩の大事な予定が、これでパアになった」と言うことで⑬マーティの父が明日車を貸してくれる伏線が回収され、これで誰もが先ほどのスクラップが今は見ることのできない・実は映画で1回も映らない「マーティの父の車」だとわかる
このことが論理的に説明されている本当によくできた映画脚本の名シーンだと思います


これによって2つ目満たされない状況・キッカケ・「明日はジェニファーとのデート」が設定され、この2つが映画のラストまで扱う情報です
そして最後に、マクフライ家が勢揃いしロレインがジョージとの馴れ初めを語ることで映画のストーリー全てにかかる「全体の伏線」が提示されます

この15分間で、主人公のマーティ。電話越しに話したドク。1時間後に登場する先生。ラストに登場するジェニファーマクフライ家が紹介されます







プロットポイントⅠ
30
分まで マーティ、デロリアンに乗る

ほとんどの映画が、この映画の1/4・30分までに一番多くの情報を提示します。なので、この15分間を「映画の説明」と呼んでいます

20分目にドク、登場
この映画を「情報の出し入れが上手い」と評するなら
ドクというキャラクターは情報そのものです
口頭でデロリアンとタイムトラベルのルールを全て説明し終えます

最初の15分までがマーティのパートなら、この30分まではドクのパートです


ドクが説明する手順はこうです

①デロリアンでタイムトラベルの光景を見せる
②使い方を教える
③生み出したキッカケを語る
④生み出したものを動かす源を明かす
⑤その源のせいで殺される
説明の中でドクが物語の起承転結のように動いているせいで、正直何故このタイミングで襲ってきたのか根拠がないリビアの過激派に納得がいってしまいます

頼りのドクが目の前で殺されマーティ自身も追い詰められることで主人公が自ら行動を選択する機会が生まれ。マーティがデロリアンに乗る「最初のクライマックス」が描かれます
主人公の選択によって物語の方向は動かされ、話は転がり膨らんでいきます
このような展開を引き起こす事件・エピソードを「プロットポイント」と言い

三幕構成の第一幕と第二幕の終わりに設定される。云わば起爆剤です







45分まで ロレイン登場
マーティが1955年のヒル・バレーに訪れてから映画の半分・2/4・60分まで、映画のテンションが上がっていきます
同時に30分までに登場していた「伏線」が多く回収されていきます
ミニッツライナーを見ると、30分までは青色の注釈が多いの対して30分~60分までになると青色の注釈が減り赤色の注釈が増えています
30分までが情報の「増加」、60分までが情報の「回収
に変化しているのが目で見て色でわかります

さて、脚本業界では映画を観ているお客さんが物語の中で登場した「新しい情報」を記憶していられる時間は「15分」が限度だと言われています。その為この映画に登場する伏線の殆どは「15分後に向けた伏線」と「ストーリー全体に向けた伏線」に分けられます
トヨタのバーゲンCMや、先生が語ったドクについてが「15分後に向けた伏線
プルトニウムのケースや、ロレインが語ったジョージとの馴れ初め話が「ストーリー全体に向けた伏線」です
(おそらくこの「ストーリー全体に向けた伏線」が「もう一回観たくなる」「観る度に新しい発見」現象の正体なんだとおもいます)


これらに該当しない「伏線」。例えば


9.マーティ、バンドのオーディションに落ちる
 ⑪ゴールディ・ウィルソン市長の街宣車
         28分後↓

 37.マーティ、新聞で1955年11月5日の日付を確認

    9.>※⑪ゴールディ・ウィルソン市長の街宣車
            4分後↓
  41.ゴールディ・ウィルソン、マーティから市長になると言われ調子付く
  37.>⑪ゴールディ・ウィルソン市長の街宣車

11.ジェニファー、マーティに電話番号を教えて帰る
 ⑰1955年の落雷で止まった時計台取り壊しに抗議する歴史保存協会のチラシ
         26分後↓
 37.マーティ、新聞で1955年11月5日の日付を確認
 11.>※⑰1955年の落雷で止まった時計台取り壊しに抗議する歴史保存協会のチラシ
         18分後↓
  55.ドク、マーティが渡したジェニファーの電話番号の紙を見る。次の土曜の午後10時4分に給電しようと企てる
  37.>⑰1955年の落雷で止まった時計台取り壊しに抗議する歴史保存協会のチラシ


伏線が登場して30分や長い時間経ってしまった。云わば賞味期限切れの重要な伏線には、回収される箇所に近づくに連れてきちんと前フリを打っています
インデックス・カードで、きちんと情報が整理できた上で書かれた脚本のため情報の扱いにはとても丁寧です




マーティがジョージと出会い、家の前で車に撥ねられる方が入れ替わってしまうことで
ロレインに会うはずだったのがジョージではなくマーティになってしまいます
これから映画のテンションが上がるキッカケ。「状況の変化」が訪れます

45分目にロレイン、登場



ミニッツライナーで「行動」のみを書くことで初めて見えてくるんですが、ロレインの主語だけを読むと彼女は一貫して男に都合のいいセックスアピールしかしてないのがよくわかる
なんならマーティにズボンを投げ渡すカットで、よく見るとパンツ一丁のマーティを見て嬉しそうにニヤリと笑っているのが鏡に映り込んでいる芸の細かさ
あきらかなストーカー気質!この子ヘンだよ!





※インデックス・カード:カードに映画のシーン・出来事をアイデアを書き留めてボードに貼り付けることで情報が整理され、カードを並べ替えたり書き換えながらストーリーを作る方法です






ミッドポイント
60分まで マーティ、ジョージにロレインを誘わせる

ベインズ家を出て本来の目的だった1955年のドクに会いに行きます

第2のドクのパート

ドクが口頭で伏線をポンポン回収して状況を整理するだけの15分間です
マーティが1955年に来たことで生じた世界への影響を調べた結果
1988年に戻る前に主人公がやるべきことを導き出します
映画の半分・60分目にマーティがジョージにロレインをダンスパーティーに誘うよう提案することで
マーティが1955年に関わろうとする「転回点」が生まれます
このように、長い二幕目の前半と後半を繋ぎ止める興味や疑問を明確な目的として提示している事件・エピソードを「ミッドポイント」と言い。映画の半分を探すと大体あります


さきほど話した。インデックス・カードで書かれた脚本である
反面、ちょっと失敗している部分もあります

マーティがドクに1985年に戻してくれと説得するシーン
①ドク、マーティが残していった彼女に「美人か!?」と質問する
②マーティ、「すごい美人だ」と答える
③マーティ、電話番号とメッセージが書かれた紙を見せる

このシーン変です。ドクがマーティの彼女に「美人か!?」と興味を示していながら次の瞬間には一切興味を示していない上に、以後ドクがジェニファーに会った際もドクが美人が好きという設定は出てきません
「ドクに雷が落ちる事実を知らせる」というシーンを書くために
ジェニファーがメッセージを書き残していた事実マーティがズボンからチラシを取り出す理由とを繋ぐドラマツルギーを思いつけていません
脚本を担当したボブ・ゲイルはインデックス・カードを書いたときに、1枚目を「マーティ、1955年に行く」。2枚目を「マーティ、1955年から帰る」にして、その中間に「マーティ、ロックンロールを発明する」というカードを置いてストーリーを組み立てたと語っています
おそらく、その間を埋めていくうちにどうしてもピースが噛み合わなかったのが原因だと考えます
これは監督のロバート・ゼメキスが、終盤にロレインがマーティを好きじゃなくなる理由が最後まで思いつかず「弟みたい」と言わせることでようやくシーンが成立した。と言っていたことから予想します

しかし、この失敗はPART2、3で然も最初から想定済みの設定であったかのように上手く活かされています…







75分まで ダンスパーティーの段取り
映画の半分・60分までを過ぎて映画の3/4・90分までは、物語の進む方向が決まり話畳む段階に入っているので新しい情報が増えたり・映画のテンションは上がったりしません。今更宇宙人が攻めてきたり話のスケールを大きくしても遅いです
なので、ここから先は新しい「伏線」が出てきても5分と経たずに「回収」されてしまいます
観客に余計な情報を与えず映画のテンションを下げる為に映画の3/4、マーティはその名のとおりジョージをサポートする「裏方」に回ろうとしますが…

67.マーティ、スケートボードを作りビフから逃走
目立たないようにしたつもりが「中盤のクライマックス」を描いてしまい、
ロレインの気を引いてしまいます


よく映画の内容をを一言で言えという時に三幕構成が綺麗に取れてる映画ならこの「プロットポイントⅠ」と「プロットポイントⅡ」(大体30分と90分)を見て合わせて言えばいいんです

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のストーリーは「好きな時代にタイムトラベルできる車で1955年に…」でもなく「若い頃のお父さんとお母さんが出会う前…」でもなく

車に乗って、ギター弾いた」です

よく、この映画で「マーティ自身に成長がない」と言われるのは

この2つが一切関係ないからです







プロットポイントⅡ
90分まで マーティ、ダンスパーティーでギターを弾く
ジョージとロレインを結ばせる準備」も「1985年に変える準備」も万端!
後は上手くいきますよーに、と思いきや…ビフに遭遇し、パーティを盛り上げてくれるはずだったギターのマーヴィンが手を怪我してしまう
不利な状況に追い詰められ選択肢が狭まることで、主人公が自ら行動する機会を得て「最後のクライマックス」が描かれます
「マーティがギターを弾く」これによってジョージとロレインが結ばれ物語の方向が動かされる。第二幕の「プロットポイントⅡ」が設定されます

映画の最初に提示された葛藤
1つ目満たされない状況・キッカケ・「ギターに自信がないマーティ
を解決します







105分まで ドク、生還
デロリアンに乗るマーティ時計台に登るドクこの映画で初めて2つの出来事が同時に進行する場面。これだけで十分情報量が多いシーンを書いてるので
最後のクライマックス」には新しい情報は一切なくテンポよく進んでいきます
あとは畳むだけです。なので書くことも無くなってきます



この映画はデロリアンとタイムトラベルの見せ方がめちゃくちゃ上手いです
2度あるデロリアンのシーンでは、必ず
ディティールがハッキリ映らない薄暗い「」にデロリアンを登場させて、タイムトラベルが成功するか否かのサスペンスを演出した後
タイムトラベルした先では必ず「」になり画面が明るくなることでデロリアンの姿を確認することができ、やっとディティールを見れたという安心感から無事成功したことが画で見てわかる
こういう「」と「」の時間経過を使ったドラマの作り方(ヒジョーにスピルバーグ的)がPART2、3ではできなかった時間をかけて脚本を練り込めた成果だと思います


(デロリアンのエンジンがかからないのは同じ時代にデロリアンが2台在ることを観客に悟らせないためですね)




ラスト マーティ、4WDを手に入れる
1955年でロックンロールを発明し、1985年のドクを生き返らせたマーティが家に帰るとマクフライ家が理想の人相に
(全部周りの環境が変わっただけで成長してないけど)
彼は自らの行動で、未来には行けないかもしれないけどジェニファーを連れて行ける自分だけのデロリアンを手に入れます(物が増えただけで成長してないけど)

映画の最初に提示された葛藤
2つ目満たされない状況・キッカケ・「明日はジェニファーとのデート
を解決します
(主人公の葛藤は全て解消されていますが、彼が本当にやりたかったのはそんなことだったんでしょうか?お父さんのようにSF小説を出版社に送ることだったんじゃないのかい!マーティ!君がやるべきはデモテープを送ることだ!



追記

ベッドから起き上がり部屋を出たマーティの手には封筒が握られています
このシーン、脚本にはこう書かれています

「彼は時計と壁掛けのカレンダーを確認する
 ベッドから出て鏡の前で頬をつねる
 ナイトスタンドに飾られた兄姉の写真に変わりはない…
 彼はゴミ箱の中からレコード会社の書類を手に取りそれを見る
 引き出しからカセットテープを取り出す
 それを封筒に入れる

このように、脚本にはちゃんと封筒の中身とデモテープを映しており
マーティの意識には常にミュージシャンになる夢があるのがわかるように描かれています
画面には映りませんが、僕はこのシーンが撮影されていたとしたら
どんなものであったのだろうと想像をふくらませます


TO BE CONTINUED…


15分解説おわり







あとがき
最後まで読んでくれてありがとうございます
ここ1ヶ月ぐらい託けて手をつけられずにいたので「3部作映画特集 PART1」と称しておいて遅れてしまい申し訳ありません

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に関しては多くの出版物や観た人の中で語れる部分が出し尽くされた映画だと思ったので、未だに誰もやってないような読み物を作らなければ意味がないと決めた結果。三幕構成の話より伏線がどれだけ持続しているのか?に特化したものになりました
今回ミニッツライナーを書いた中で、どの情報を伏線とし伏線としないかの「伏線」の定義は、「その時点で見ただけでは意味が通じないもの」に絞りました
それにちょっと好みのアレンジを加えた結果。49の伏線があるという結論になりました
これは僕がやったから49になっただけで、他の見方で数えればまた変わってくると思います

一応ここ1ヶ月本当に忙しかったので『カメラを止めるな!』以来、映画を観れていません

観てきまーす





おしまい


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