#06『狂い咲きサンダーロード』ミニッツライナー(98分)

ミニッツライナーとは?
映画本編ごとに止めて
「だれが」「なにをした」
かだけをずつ書いていくことで  
映画の構造をより深くたのしむ方法です
_SL1000_
 
 
 

こんにちは
今回は秘宝系映画特集第2弾
ロックンロールウルトラバイオレンスダイナマイトヘビーメタルスーパームービー
狂い咲きサンダーロード』を名言特化型でミニッツライナーします
日本大学藝術学部映画学科の学生、当時22歳だった石井聰亙らが卒業制作として発表した自主映画
泉谷しげる・笠松則通・小林稔侍など、現在でも活躍している人物も多数参加

目次

【前半】
『狂い咲きサンダーロード』ミニッツライナー(98分) 
読めばいつでも映画を思い出せるように「だれが」「なにをした」だけで書きました
今回は名言特化型で。全ての「名言」を追記しました

【後半】
まとめ&15分解説
「不良映画の脚本術」
15分ごとに考える
『狂い咲きサンダーロード』の脚本の構成を読み解いていきます


それではどうぞ


1980年公開 『狂い咲きサンダーロード』
Crazy Thunder Road
監督 石井聰亙

脚本 石井聰亙
   平柳益実
   秋田光彦

※数字は上映時間の分です
「」には名言を追記しています
1.倒れたバイク
(エンジン音)

2.バイク、走る
~サンダーロード~
3.特攻隊たちの集会
~ストリートファイアー~
「走れなくなるのと走らないのとじゃな ワケが違うんだよ」
4.魔墓呂死、エンジンをかける(タイトル)
5.健、特攻隊たちに攻められる
「走るときは走る 辞めるときは辞める なんだってケジメだよなー わかる?」
6.魔墓呂死、暴走する
7.特攻隊たち、エルボー連合の決議を催促する
8.魔墓呂死、集会を襲撃
9.健、仁と鉢合わせる
10.魔墓呂死、撤収
「ざまあみさらせ!」
11.健、魔墓呂死の解散を伝える
12.仁、解散に反対
「他のヤツらはマッポにビビッてチンタラやってもよ オレたち魔墓呂死だけは最後までツッパリ通しゃいいじゃねえかよ!!」
「うるせえんだよドブス!!!」

13.仁、茂を誘う
「今日からお前らみんな…敵だ! 百姓、田んぼの真ん中いってコンクでも乗ってろよ」
14.仁と茂
15.健と典子、解散を悔やむ
16.特攻隊たちの集会(剛、登場)
~バトルロイヤル広場~
17.髑髏、反対する
「俺たち、愛される暴走族なろうってわけよ わかる?」
18.髑髏、裏切り者の存在を指摘する
「俺たちが無傷なのは!手前で手前の身体守ったからだよ!おめえらのはよぉ!腰抜けのやっかみってもんだぜ!」
19.剛、健の下を訪れる
「あんだけの兵隊が暴れだしたらよぉ 引っ込みなんてつかねえしよ 血の雨が降るぜ」
20.髑髏、仁を目撃。追いかける
21.仁、髑髏を攻撃
「10年早ぇんだよイモ野郎!魔墓呂死特攻隊ナメんじゃねーぞ!!」
22.剛、魔墓呂死に失望
「テメェら体張って走ったんじゃないのか!」
23.エルボー連合、誕生
24.剛、魔墓呂死特攻隊のアジトを訪れる
~バックブリーカー砦~
25.仁、剛を攻撃
「は!自分が仁でありますが なんか御用件でありますか!」
「てめーそれ以上こっちに来たらぶっ殺されっかんな!」
26.剛、訳を話す
「この現状でお前達に一番有効な方法を提案したい!どうだ」
27.剛、仁たちを勧誘。茂、名刺を貰う
「オイ忠!ヤクあんだろな!テメェら、いまからぶっ飛ぶぞ」
28.エルボー連合、行動を始める
29.エルボー連合、魔墓呂死を捜す
30.エルボー連合、魔墓呂死狩りを始める
「魔墓呂死特攻隊!見つけ次第殺せ!いいか!いいか!いいか!いいか!いいか!殺せ!
31.髑髏、幸男を襲撃
「最近の中学生ってのはすげーなオマエよぉ」
「でもよぉ、仁さんよぉ 童貞っつー話だぜ」
32.髑髏、幸男を誘拐
「わかったか!百姓!!」
33.髑髏、幸男を拷問
ガタガタガタガタうるせーんだよお前ら! 俺低血だから朝弱いっつってんだろ!

34.魔墓呂死、武装
35.仁、隊員に活を入れる
「全員殺せ!全員片輪にしろ!!」
36.エルボー連合、占拠
~デスマッチ工場後~
37.仁の覚悟(エンジン音)
「面白れぇじゃねえよ!やってやろーじゃねえよ!」
38.魔墓呂死、内部崩壊
39.茂、助っ人を呼びに行く(エンジン音)
「上等じゃねえよ!こうなったら三人だけでやってやろうじゃねーよ!」
40.仁、幸男を助けに行く
「ヤクなんかやってんじゃねえよ!いまそのときじゃねーだろ」
41.茂、健を訪ねる
42.仁、デスマッチ工場後に到着
43.仁、エルボー連合に勝負を挑む
44.乱闘
45.剛・健と典子、到着
46.剛、仲介に入る
47.幸男、死す
48.剛、仁をなだめる
「酒くれよ、一発であの世いけるヤツな」
49.剛、仁を誘う
50.訓練
51.剛、仁に銃を握らせる
「行け 行くんだ 行ってこい 行けよ 行け 行けよ 行けぇええ!!!」
52.仁、入隊
53.仁の訓練
「なんなんだよオラ オカマかオラ」
54.仁の政治活動
55.特攻隊、仁を挑発
~スーパー右翼本部~
「ふざけるんじゃねーよこの日の丸チンドン屋 このバーカこっち来て見ろよオラ!」
「なんだまたかよ ダメだなありゃ」
「オメェよぉ!日の丸見てセンズリしてんだろ!!」

56.剛、仁に説教
「なんだよ天皇かよ 参ったなオイ」
57.仁、剛と対立
58.仁、除隊
「長らくお世話になりましたっと!」
59.仁、バイクに乗る
「お前ら残る、俺は辞める それでいいじゃねーかよ」
60.エルボー連合、仁をみつける
「おめーらみたいなチンピラ撃つんだよ」
61.英二と忠、仁について行く
62.茂、仁を心配
63.剛、茂に託す
64.エルボー連合、剛を追及
「ガタガタするんじゃない たかが半端者の一人や二人じゃないか お前達は逃げ回るしか能がないのか」
65.仁、ディスコで特攻隊を襲撃
66.仁たち、アジトに帰る
「ヤクでもやって寝よーぜ」
67.仁、右手を切り落とされる
68.健と典子、見舞いに来る
69.茂、見舞いに来る
70.仁、茂を追い返す
71.茂、仁に忠告
72.健と典子タイム
73.仁、英二に別れを告げる
「英二、じゃあな」
74.忠、病院から連れ出し仁の元を離れる
75.(エンジン音)
76.行き場のない仁
「天晴、天晴、あははははははははははは」
77.仁、スラムにたどり着く
78.ツッパリの小太郎、仁のタバコに火をつける
79.仁、武器を要求
「殺したいヤツがいるんだ」
80.仁、武器商人の紹介を受ける
「街中のヤツらみんな…ぶっ殺してやる」
81.仁、全員を襲撃
「どんなのが欲しいんだよ」
「人が殺せりゃなんでもいいよ」
82.茂、徹底抗戦
「やるしかないでしょう。話し合ってわかる相手じゃない」
83.茂と剛
84.戦いの火蓋が切られる
85.オッサン、退散
「おーい!がんばれよ!!」
86.小太郎、助太刀
87.茂、仁に勝負を挑む
「死ね死ねー!死ねぇ!死ねぇ!!やったぞー!」
88.仁、髑髏を倒す
89.仁vs茂
「茂、変わったな 偉ーかっこいいじゃねぇかよ」
90.剛、茂ごと仁を撃つ
91.小太郎、剛を撃つ
「バイク…バイク持って来てくれよ…バイク…」
92.仁、バイクに乗る。典子、健と別れる
「そんな身体でバイク乗れんのかよ ブレーキどうすんだよ」
93.仁、走る
94.エンドクレジット
95.エンドクレジット
96.全国の爆走少年たちへ 完
97.
98.







まとめ

10 魔墓呂死の襲撃
20 襲撃事件の犯人が見つかる
30 エルボー連合、誕生
45 幸男、死す
60 仁、除隊
75 片輪の仁
ラスト 仁、走る

次は、このまとめから考える
『狂い咲きサンダーロード』の脚本の構成を読み解いていきます







15分解説
「不良映画の脚本術」

映画の構成は
30分までに目的を説明 
60分までに物語を広げて 
90分までに選択肢を狭めて 
ラストに向かって走る 

これで出来ています
では実際に読みといてみましょう







10分目 主人公の満たされない状況・キッカケ
『魔墓呂死の襲撃』

最初の10分は「映画の説明」です
『狂い咲きサンダーロード』の場合はどうか

冒頭、全ての特攻隊たちが大人しく1つに纏まることで事を収めようとしている「舞台」
どっちつかずな健(茂)の「状況」
この主人公、が持っている不満に対する態度を行動に起こすことで物語の「キッカケ」が生まれる
ここまでが丁度10分

更にラストまで活躍する
特攻隊健(茂)
主要人物が実は既に出揃っています

「OMANCO」のラクガキのアップから引いた後
更に
「チンコ」のラクガキで全く同じ撮り方でやってるのはなんなんでしょう







20分目 主人公をラストまで向かわせる動機付け
『襲撃事件の犯人が見つかる』


映画で主人公が行動する第1のポイント
目的が決定します
これによって「主人公が何をしたいのか」がハッキリします

主人公・仁の目的は
仁の顔がはじめて映る場面で

「他のヤツらはマッポにビビッてチンタラやってもよ オレたち魔墓呂死だけは最後までツッパリ通しゃいいじゃねえかよ!!」
「今日から俺が新しい『魔墓呂死』の頭だ 誰も文句はねえだろうな」

と本来説明台詞になりがちなものも
名言にすることでダイレクトに説明しています
仁というキャラクターの持つベクトルは目的と見事に一致しています

その次は
14.仁と茂
15.健と典子、解散を悔やむ

典子

15分目で
これまで出てきた数多くのキャラクターの中で
重要なのは誰なのか」に
印象付けています

20分目で
特攻隊たちにも
仁を倒す!
という映画の目的も出てきます







30分目 状況の変化
『エルボー連合、誕生』


目的が決まって~映画の半分(49分)まで膨らませて転がして
物語は個人から社会性を帯びていきます
その途中、このシークエンスでは新しい要素・全体の伏線 が登場します

ここでの
新しい要素は2つ
エルボー連合

2人の会話は今後の関係を現す用に最初から噛み合わない「悪かったな」「悪かったよ」

が魔墓呂死や仁に会いに来ます
ここまで青年の物語だった映画に
大人が登場することで状況が変化します

映画の1/3まで10分ごとに
①襲撃受ける
②襲撃事件の犯人を見つかる
③エルボー連合、誕生

実は
エルボー連合はいかにして生まれたか?」
を見せている30分でもあります

30.エルボー連合、魔墓呂死狩りを始める
ことで物語は仁・個人から社会のものになります







45分目 転回点
『幸男、死す』


映画の半分、最初のクライマックスです
ついに、エルボー連合が幸男を人質にとり
仁が助けに行くことで、主人公がクライマックスに向かって行動します
幸男が死ぬまでがこの映画の山場です

助っ人を呼びに行った茂でさえ
健を呼んだ後、物足りないと感じて剛も呼んでる辺り
健の体たらくぶりが伺えます

取り返しのつかないものを失って
どうやっても立ち直れない状況に
映画の丁度半分
49.剛、仁を誘う
救いを見せることで成長の兆しが見えますが…







60分目 引き返しのつかない行為
『仁、除隊』


一番まともな大人と思いきや、一番危ない人でした。

映画の半分~最終決戦まで
仁は前半ほど活躍しません
ラストのために徐々にトーンが落ちていきます
一度広げた風呂敷、人物・物語の選択肢をあえて狭めることでラストに向かって
何をするのか?」を観客がわかるようにハッキリさせる必要があるからです


「仁が入隊して除隊するまで」が丸々15分
最後の引き返しのつかない行為
までの訓練シーンでは
本来悲観的でダレがちな場面を
一点してテンポ良くやっています

スーパー右翼本部では常に役者の顔にプロジェクターを映して画面の情報量を上げる工夫も見えます







75分目 クライマックスへの行動
『片輪の仁』


映画で主人公が行動する第2のポイント
葛藤が描かれます
ここまでとことん 不利になって追い詰められます 
選択肢がもう無い主人公は自分で解決しようと決心します 
これによって主人公の目的が再設定され
クライマックスへの行動が生まれます

「ガタガタするんじゃない たかが半端者の一人や二人じゃないか お前達は逃げ回るしか能がないのか」
と言ったときの剛の顔の演技

仁たちを襲った集団の「独軍のヘルメット」がスーパー右翼本部のテロップが出たカットに映りこむことで

罰を講じたのも命じたのも剛であったことの説得力が増して
ラストの仁の復讐が本当は誰を殺すためなのかがよくわかります

見舞いに来た5分後にはイチャイチャしだす健のくずっぷり!







ラスト エンディングまで
『仁、走る』


ラストは解決です
物語の問題・葛藤に解答を出します

いよいよ果てまで堕ちたことを現すかのように
これまでの青年大人の物語に
ようやく子供老人が登場することで
全ての人間の成長が出揃います
いよいよ最後だとわかります


この映画ではバイク以外からエンジン音が鳴る場面が3回あります
①仁の倒れたバイク
②幸男を助けに行くとき
③ヤク中で廃人になったとき
そのすべてが仁が逆境に立ち向かう場面で鳴っています

ラストに傷つき半ば倒れた後も常に前に向かって突き進んでいて
仁の精神は行き続けているという根底にあるテーマ「全国の爆走少年たちへ」が
あの音から読み取れます

茂、仁の意思が
健に引き継がれることで
この映画は前を向いて終わります

15分解説おわり








あとがき

解説まで読んでくれて
本当にありがとうございます

感情的な映画をロジックに当てはめて
脚本の構成だけを見つめて書いてみよう
と考えたのがことの始まりでした

ついつい、面白い部分だけ書いてしまって
想定どおりの文章にならず
練り直し練り直しで結果
『エイリアン2』で書いたようなことを簡潔にまとめることで
ようやく完成した解説です

今年もあと2日
ノルマもあと2本です

おしまい

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