#14『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』ミニッツライナー(136分)

ミニッツライナーとは?
映画本編ごとに止めて
「だれが」「なにをした」
かだけをずつ書いていくことで  
映画の構造をより深くたのしむ方法です
_SL1000_






こんにちは、時間かかりました
今回はMCU特集 第2弾
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』をミニッツライナーしていきます

マーベル・シネマティック・ユニバース、9作目
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の続編
『アベンジャーズ』の2年後を描く


目次

【前半】

#14『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』ミニッツライナー(136分)
読めばいつでも映画を思い出せるように「だれが」「なにをした」かだけで書きました
今回は映画で「ドア」と「」が動いた箇所、すべてに注釈をつけました


【後半】
まとめ&15分解説
「キャプテン・アメリカはドアノブに触らない ─ドアから入るな、窓から出ろ─

『ウィンター・ソルジャー』がもっとおもしろくなる!映画を教科書のようにわかりやすくした解説です


それではどうぞ


2014年公開『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 上映時間136分
Captain America: The Winter Soldier
監督 アンソニー・ルッソ
 ジョー・ルッソ
   脚本 クリストファー・マルクス
        スティーヴン・マクフィーリー

※数字は上映時間の分です
1.スティーブ、サムを追い抜く
2.スティーブ、サムと知り合う
3.スティーブ、サムから『トラブル・マン』を教わる
 ナターシャ、車で迎えに来る
(ドアから入る)

4.ラムロウ、部隊にシールド船の占拠・人質シットウェル救出作戦を説明
5.スティーブ、シールド船に降下
6.スティーブ、警備兵を無力化
7.ラムロウ、ナターシャ、降下
8.人質部屋の兵士、シットウェルを拷問
 バトロック、出発を指示

9.ナターシャ、出発を阻止
 ラムロウ、人質部屋の警備兵を無力化

10.ナターシャ、機関室を制圧
11.ラムロウ、人質部屋の兵士を無力化。シットウェルを解放
 スティーブ、バトロックに奇襲をかけるも逃す
(窓からシールドを投げる)

12.スティーブvsバトロック
13.スティーブ、ナターシャと合流(ドアをバトロックごと壊して侵入)
 ナターシャ、シールドの情報を回収
14.バトロック、手榴弾を投げて逃亡(窓を破って隣の部屋へ)
 スティーブ、シールド本部へ帰還

15.フューリー、ナターシャの任務は極秘だと弁明
16.フューリー、スティーブにインサイト計画を見せる「祖父の話」(エレベーターに乗る)
17.フューリー、インサイト計画を説明
18.スティーブ、インサイト計画に反対(バイクで帰る)
19.スティーブ、スミソニアン博物館を訪れる
20.バッキーの死
21.スティーブ、ペギーを訪ねる
22.ペギー、もう一度同じやりとりを繰り返す
23.フューリー、自らの権限でシールドの情報が開けないことを知る
24.ピアース、委員会にシールド船の占拠は問題ないと説明
25.フューリー、ピアースにインサイト計画の延期を申し出る
26.サム、帰還兵たちの自助グループを終える
27.スティーブ、サムから退役した理由を聞く
28.フューリー、走行中に警察車両の攻撃を受ける(マリアに電話)
29.フューリー、窓ガラスを破壊される
30.フューリー、窓から反撃して逃走
31.警察、フューリーを射撃渋滞したバスの窓越しに)
32.フューリー、警察車両を撒く警察を窓ガラスへ轢き飛ばす)
33.ウィンター・ソルジャー、フューリーを転倒させる
 フューリー、逃亡
(地面を掘って地下へ)
34.スティーブ、マンションの隣人と会話
35.スティーブ、自室のステレオを消し忘れていると知らされ窓から侵入
36.フューリー、スティーブに盗聴を警告
37.ウィンター・ソルジャー、フューリーを窓から狙撃
 フューリー、スティーブにシールドの情報を託し誰も信用するなと警告
 ケイト:エージェント13、ドアから侵入

38.スティーブ、ウィンター・ソルジャーを追う(窓から出てドアを破壊し続ける)
39.スティーブ、ナターシャ、マリア、フューリーを見舞う
 スティーブ、ドアの前で立ち止まる

40.フューリー、死亡
41.ナターシャ、スティーブにフューリーが訪ねてきた理由を問う
 ラムロウ、スティーブをシールド本部に呼ぶ

42.スティーブ、シールドの情報を隠す(自販機の中)
 スティーブ、ピアースに会う

43.ピアース、フューリーが長官になった経緯を話す
44.ピアース、シールド船の占拠はフューリーがシールドの情報を盗むための自演だと話す
45.ピアース、スティーブにフューリーが訪ねてきた理由を質問
46.スティーブ「誰も信用するな」
 ピアース「邪魔する者は容赦しない 何者だろうと」
47.スティーブ、エレベーターで作戦本部へ向かう
 ラムロウ、エレベーターに乗り込む
 続々と乗り込む

48.スティーブ「降りるなら、今のうちだぞ」
49.シットウェル、増援を送る
 スティーブ、全員を無力化

50.スティーブ、ドアから出ようとするも増援が迫ってくる
 窓から脱出

51.スティーブ、バイクで逃走。戦闘機を無力化
 シットウェル、シールドにスティーブの追跡を支持

52.ピアース、シールドにスティーブの裏切りを伝える
 スティーブ、シールドの情報を取り戻しに来る
 ナターシャ、待ち伏せる
53.スティーブ、ナターシャから知るかぎりの情報を聞き出す「フューリーを殺したのはウィンター・ソルジャー」
54.ピアース、委員会からフューリーの裏切りを機にインサイト計画の急行を指示される
55.スティーブとナターシャ、シールドの情報を解析
56.スティーブとナターシャ、位置を特定
57.ラムロウたち、スティーブを捜索
58.スティーブとナターシャ、ニュージャージーへ向かう
59.スティーブとナターシャ、WWⅡ時の訓練基地に到着
60.スティーブ、格納庫からシールドの秘密基地を発見(錠を破壊)
61.スティーブ、棚の後ろに隠し扉を発見(棚を動かす)
62.ナターシャ、シールドの情報を読み込ませる
63.ゾラ、目覚める
64.ゾラの生い立ち
65.ヒドラ、シールドに寄生(ゾラの画面を殴る)
66.シールド、秘密基地をミサイル攻撃(シールドでドアが壊せない)
67.スティーブ、ナターシャと回避
68.ラムロウ、足跡を発見
69.ウィンター・ソルジャー、ピアースを訪ねる
 ピアース、スティーブとナターシャの殺害を命じる
 ピアース、ウィンター・ソルジャーの顔を見た者を射殺

70.サム、訪ねてきたスティーブとロマノフを保護(窓から入る)
71.スティーブとナターシャ、本当の敵とは
72.スティーブとナターシャ、シットウェル誘拐を企てる
 サム、正体を明かす

73.シットウェル、ヒドラ党員と会合
74.サム、シットウェルを電話で誘導
75.スティーブ、シットウェルを拷問(シットウェルを蹴ってドアを開ける)
 ナターシャ、ビルから蹴り落とす
 ファルコン、ウィングスーツで引き戻す

76.シットウェル、インサイト計画の全貌を明かす
77.スティーブ、シールド本部へ向かう
 ウィンター・ソルジャー、シットウェルを殺害
(車窓から放り出す)

78.スティーブ、車から脱出(ドアを盾に)
 ウィンター・ソルジャーの攻撃で橋の下に落ちる
(車窓からバスの中に放り出される)

79.ナターシャ、橋の下からウィンター・ソルジャーの影を発見
 不意を疲れたウィンター・ソルジャー、アイマスクを脱ぐ

80.ウィンター・ソルジャー、ナターシャを追う
 ヒドラ、降下してスティーブを攻撃

81.サム、橋の上から援護
 ウィンター・ソルジャー、ナターシャの声がする方に手榴弾を投げる
(ヘリを呼ぶ)

82.ナターシャ、不意を突くも殺せず
 スティーブ、ウィンター・ソルジャーに勝負を挑む

83.スティーブvsウィンター・ソルジャー
84.スティーブ、ウィンター・ソルジャーの正体を知る
 ウィンター・ソルジャー、逃亡

85.ラムロウたち、報道ヘリのせいでスティーブ射殺から捕獲へ
86.変装したマリア、スティーブたちを逃がす(車の床を彫る
87.フューリーは生きていた
88.ウィンター・ソルジャー、目覚める
89.ウィンター・ソルジャー、ピアースにスティーブの正体を質問
90.ピアース、ウィンター・ソルジャーをもう一度洗脳
91.フューリー、ヘリキャリアの完全武装阻止を指示
92.スティーブ、へリキャリアと共にシールド破壊を決意。リーダーになる
93.葬儀の帰り
 バッキー、スティーブに家の鍵を渡す

94.スティーブ、バッキーと戦うことを決意
95.インサイト計画実行段階
 ピアース、委員会に生体認証バッチを配る

96.スティーブたち、通信室を制圧
 シールドにヒドラが潜んでいることを暴く

97.スティーブ、インサイト計画の正体を暴く
 ヒドラ、ヘリキャリアに乗り込む

98.ラムロウ、シールドに強制発進を指示
 ケイト、銃を向ける

99.シールドvsヒドラ
 ラムロウ、ヘリキャリアを強制発進させる

100.スティーブとサム、ヘリキャリアに乗船
101.ピアース、委員会を脅す
102.ナターシャ、ピアースの委員会殺害を阻止
 サム、ヘリキャリアと交戦

103.スティーブ、ヘリキャリア最下部へ向かう
 ナターシャ、シールドの情報を公に明かそうと試みる

104.スティーブ、A機制圧
 サム、B機制圧
(相手のミサイルでガラスを破壊)

105.ウィンター・ソルジャー、シールドの空軍部隊を制圧
 戦闘機でスティーブを追う
(窓越しに搭乗者を射殺、窓を破って搭乗)

106.フューリー、ピアースと再会
107.フューリー、シールドの情報を公開する制限を解除
108.スティーブとサム、C機に乗船
 ウィンター・ソルジャー、二人を攻撃

109.ウィンターソルジャー、サムを無力化
 ラムロウ、ナターシャの侵入を知り委員会へ向かう
 サム、ラムロウを追う

110.C機にて、キャプテン・アメリカvsウィンター・ソルジャー
111.スティーブとウィンター・ソルジャー、ブレードを奪い合う
 ナターシャ、シールドの情報を公開
 ピアース、生体認証バッチで委員会を殺害。ナターシャを無力化

112.スティーブ、ウィンター・ソルジャーを無力化。ブレードを取り返す
 サム、ラムロウと交戦

113.ヘリキャリア、攻撃準備
 ウィンター・ソルジャー、スティーブのブレード交換を阻止

114.ヘリキャリア3機、ターゲットに砲身を向ける
 スティーブ、C機制圧
 ヘリキャリア3機、相互に砲身を向け合う

115.ヘリキャリア3機、同士討ち
116.ピアース、ナターシャを人質に逃亡を図る
 ナターシャ、自らを仮死状態に
 フューリー、ピアースを射殺

117.ヘリキャリア3機、撃墜
118.ヘリキャリア、シールド本部に墜ちる
 サム、シールド本部から脱出
(窓から出てヘリの窓を破って入る)

119.スティーブ、下敷きになったウィンター・ソルジャーを救出。説得する
120.ウィンター・ソルジャー、スティーブ殺害の手を止める
 スティーブ、海に墜ちる

121.ウィンター・ソルジャー、スティーブを海から救出
122.サム、病室で『トラブル・マン』を流す
 スティーブ、目覚める「左から失礼」

123.ケイト、CIAで訓練に励む
 マリア、スタークインダストリーズで誰かと話す
 FBI、ヒドラ党員を捕らえる
 ラムロウ、重症
 フューリー、

124.ナターシャ、ペンタゴンから去る
125.フューリー、自分に関する全ての記録を消去しヒドラ残党を追う
126.ナターシャ、スティーブにヒドラの研究資料を渡す
127.スティーブとサム、ウィンターソルジャーを追う
128.エンドクレジット(タイトル)
129.ヒドラ残党、ロキの杖を研究
130.ヒドラ残党、双子の人体実験に成功
131.エンドロール
132.エンドロール
133.エンドロール
134.エンドロール
135.エンドロール
136.ウィンター・ソルジャー、スミソニアン博物館を訪れる







まとめ

15分 シールドの情報
30分 ウィンター・ソルジャー
45分 シールドとの決別
60分 シールドの陰謀
75分 インサイト計画の全貌
90分 スティーブの決意
105分 残すは1機
120 ウィンター・ソルジャー、スティーブを救出


次は、これを15分ごとに解説していきます




15分解説
キャプテン・アメリカは
ドアノブに触らない

─ドアから入るな、窓から出ろ─
この映画の原作本『キャプテン・アメリカ :ウィンター・ソルジャー』を翻訳されたSF作家・堺三保さんは本作を「シナリオの勝利だ」と言いました

キャプテン・アメリカ の「どんな時でも妥協しない、一直線な性格」を行動で示すために
キャプテン・アメリカは移動する時にドアノブを触りません

「ドア」があればヴィブラニウムの盾で壊して進む
「窓」ガラスがあればウォルター・ヒル並に割って入る
ドアをまともに通る暇もないほど急いでいるから、目的までの最短距離しか通らないことで
それが「キャプテン・アメリカ」だと観てる側にはわかる
その人物の内面を行動に移すことでキャラクターがアクション化されている
ものすごく良く出来たシナリオだと

なので今回は「脚本」から観た『ウィンター・ソルジャー』を
本作の70年代政治スリラーへの参考を混ぜて書いていきます








『マラソンマン』/『大統領の陰謀』冒頭より
15分まで シールドの情報
ナターシャの任務がシールドの情報を盗むことだとわかるまでの15分
冒頭は「映画の紹介」です。『ウィンター・ソルジャー』では、ここで映画のスタイルが決定付けられます

まず、この映画はサムが走っているところから始まり
それをスティーブが追い抜き続けます
彼が誰よりも早く先に進んでいくことと、これから常に真実を追い求めていくことを表した良いオープニングです
注目すべきは「左から失礼」と言いながら「左から右」に動いていることです
この映画の中で人物が何処かへ場所を移動をするとき、それが正しい場合
正のベクトルへ向かっているときは「」に向かって動くルールがあります
えー本当に?詳しいことは後に何度も書いていきます
作中、スティーブは
選択した全ての行動を絶対に間違えていません
そこに移動するまでのほとんどが「→」に動いています
そして、ナターシャが迎えにきて車の「ドア」を開くことで映画が始まります

シールド船での任務が最初のアクション
船長室にバトロックを発見すれば即効で「窓」から侵入して攻撃
ナターシャの居る部屋にバトロックごと「ドア」を蹴って侵入
一度アクションが始まれば、スティーブが最短距離で行動するスタイルは
最初の戦闘から紹介されています

おいおい待てよ、さっきから言ってる事はベクトルが逆だぜ?
この15分が出す結論は「シールドの情報」がみつかることです
それもフューリーの自演によって仕込まれ、スティーブは何も知らずただ踊らされていただけで
窓からの攻撃も逃げられて失敗してしますし、上記の戦闘が行き着く先はナターシャがシールドの情報を回収する現場で仕舞いにはバトロックに爆破され逃げられます
物事の流れがスタック、歯止めを食らう負のベクトルがかかるときは「」に向かって動きます

シールドの情報、ここから物語は始まります







『パララックス・ビュー』より
30分まで ウィンター・ソルジャー
30分までは「映画の説明」です。映画で扱う主要な情報はここで出尽くされます
30分までにケイト以外の登場人物は全員登場し終えます

しばし休憩なので「←」に動いていきます
エレベーターでインサイト計画を紹介、バイクでシールド本部を後にする
後にこれと全く同じ展開が違う意味を持って繰り返されます
スミソニアン博物館で自分の歴史を見ながらバッキーの姿に目を止め、ペギーに会う
主人公スティーブを紹介すると同時に彼の中に満たされない状況・ドラマ上の欲求があることが明かされます
この後スティーブがマンションに帰ろうとすると部屋にはフューリーが居ます
この7分間が
この映画で唯一平穏な時間であり
この映画でスティーブは帰宅すらまともにできません

フューリーを襲う第2のアクション、注目すべきは「窓」です
警官隊が窓を破壊すれば窓からマシンガンで反撃
窓越しに射撃すれば窓ガラスに轢き飛ばす
仕舞いには警官もパトカーの窓から身を乗り出して反撃
アホ程ガラスが割れる。実は後のアクションでも繰り返されるこの映画のスタイルでもあります

そして、ウィンターソルジャーに近づくに連れ
カーチェイスの走るベクトルが「←」になっていきます…

30分目にウィンター・ソルジャーが登場します


ウィンターソルジャー、名前の由来
「冬の兵士」
少し話がソレます。知ってる方はスキップしてもらって構いません
「ウィンター・ソルジャー」という言葉が最初に使われたのは
1776年、アメリカ独立戦争時に革命思想家:トマス・ペインが書いた『The American Crisis(アメリカの危機)』の中で
人の魂が試される時がきた
 夏の兵士と日和見愛国者たちは
 この危機を前に身をすくませ
 祖国への奉仕から遠のくだろう
 しかし、いま立ち向かう者こそ
 人々の愛と感情を受ける資格を得る


氷のように凍てついた川を渡りトレントンの戦いを耐え抜いたものこそが本物の愛国者だ。という意味で兵士の戦意高揚を目当てに書かれた本で
その結果、大陸軍は戦死2名だけで大勝利を収めワシントンは国民の信頼を取戻し独立戦争の勝利への希望を得た

次にこの言葉が引用される時は違う意味を持って使われます
1971年、ベトナム帰還兵たちが米軍のベトナム人虐殺を証言する集会(VVAW
)に「夏の兵士(Summer soldier)」の対比で「冬の兵士(Winter Soldier)」と名づけられ
告白の結果、ベトナム戦争終結に世論を導いた

2008年にもう一度繰り返される、イラク・アフガン帰還兵によって開かれた公聴会(IVAW)に同じ名前がつけられた
イラクの人々を人間扱いできないように「ハジ」と蔑称していた現場の状況を明かし
嘘と腐敗に満ちた
政府の「アメリカの間違い」を暴いた

ウィンター・ソルジャー」は「強いアメリカ」の影で犠牲になった兵士たちの象徴です









『コンドル』より
45分まで シールドとの決別
第3のアクションは本当によく出来ていて。その全てが
ベクトルのルールで説明がつきます


①スティーブがドアから入ろうとすると部屋の異変に気づく
②部屋の異変に悟られないように窓から入る
③フューリーが居て窓から狙撃を受ける
④シールド情報を託され「誰も信用するな」と告げられる
⑤入ってこなかったドアから①で会った隣人が入って来る
⑥窓を破ってウィンター・ソルジャーを追う

部屋」を中心に左に「ドア」、右に「
この ドア部屋 の位置関係がキレイに組まれている本当によく出来た作劇です
スティーブが部屋に帰ると、フューリーが殺されて、ウィンターソルジャーを追う
本来一直線の話なんですが、この間スティーブはドアを開けずに窓しか通らないことを守っています

話が済めば「→」に向かってドアを破壊し続け
ウィンター・ソルジャーがその流れを今までなかった「正面」から受け止めることでシークエンスが終わる
「ゆっくり入って、急いで出る」溜めの作劇が見事に出来ています

フューリーが死んだ後、ここでも位置関係のドラマで話が進んでいきます
ナターシャからフューリーが訪ねてきた理由を聞かれ
反対からラムロウにシールド本部に呼ばれます
」をナターシャ、「」をシールドとして、中心にスティーブがいる
ここで初めて主人公は自らの行動の選択をする岐路に立たされます
結果「右」のシールドを選びますが
正面」にある自販機にシールドの情報を隠すことでどちらにも付かずに
最後にシールド返されたのと同じ正面を選ぶことで「ウィンター・ソルジャーを追う」ことに決めたことがわかります
主人公が自らの行動を選択することで「映画の第1の目的」が決定します

…フューリーが死ぬ直前
39.スティーブ、ナターシャ、マリア、フューリーを見舞う
 スティーブ、ドアの前で立ち止まる

皆が悲観的になる中、スティーブはドアに近づいた後
よく見ないと気づかないんですが、実はそのままずっとドアの前で立ち止まっているんですね

このスティーブの行動だけで、立ち向かうべき難関を前に立ち止まらざる得ないことを
閉まったドアの前で立ちすくむことで表現しようとしてるのがよくわかります
この映画が「ドア」を使ったドラマ作りに徹底してる一番の証拠です

次に、スティーブの後ろ姿にナターシャの冷たい視線の顔が被さって映っていることで
ナターシャはスティーブの隠し事に、この時点で気が付いていることが暗示されています
だから「嘘がヘタね」と言ったのは、スティーブの嘘が本当に下手だった直接的な意味ではなく
スティーブの本心を知っていたのにも関わらず本人からは信用されなかった上に嘘を吐かれたことが心底残念で失望したナターシャが本気で怒って言った一言だったのが重層的に見ると読み取れます
だからナターシャはスティーブに絶対惚れないんですよ

そして、スティーブは『シビルウォー』でも同じミスを繰り返してしまいます…


この15分間を僕は何回観ても飽きません




『大統領の陰謀』より
60分まで シールドの陰謀
第4のアクションは本作の目玉ですね
「ドアから入るな、窓から出ろ」
 のルールが最も光るアクションです

①インサイト計画を止めるためにエレベーターに入る
②続々とエレベーターに押し入ってくる異変に気づく
③邪魔する者は仲間であろうと倒す
④エレベーターから出ようとするも追っ手が道を阻む
⑤急いで下に降りても追っ手が来てドアから出れないと悟る
⑥窓から脱出

冒頭のエレベーターを降りてバイクで橋渡っていたような時とは違い
1度入った同じドアは2度と通れず、これから新しい出口を作っていくしかない
もう後戻りできなくなった状況が台詞ではなくアクションで説明されている
スティーブが目的までの最短距離しか通らないのがよくわかります
なんならスティーブ、ピアースに会うのがこれで最後です

そしてシールドの情報を隠した自販機の前に戻ります。ここを出発点に以後ナターシャと行動を共にします

ベクトルのルールを忘れてるぞ。と思ったかも知れませんが大丈夫
ナターシャを問い詰めるときは自販機を中心にナターシャを示していた「←」へ
ニュージャージーの道路標識を通るときと訓練基地に到着したときだけ
正のベクトルに向かって車が「→」に進んでいます


シールドの秘密基地には窓が無くドアしかありません
後戻りはできない
映画の半分、はじめてスティーブが手で
ドアを開ける姿が映ります





『コンドル』より
75分まで インサイト計画の全貌
スティーブがずっと信じてきた祖国、シールドこそが本当の敵だったとわかる
観客に新しい情報を開示するだけの15分間です
映画の3/4、90分まではラストに向けて主人公はあまり活躍しない
不利な状況に追い込まれ選択肢の幅が狭くなることで「次の目的」が決定します

ミサイルが実際に撃たれることでインサイト計画が実行されるとどうなるのかのビジョンを一度見せています

ウィンター・ソルジャーが任務を受けに来るとき、ピアースが「→」に歩いていくことでヒドラが戦況の優位に居るのがわかります
サムの部屋でしばし休憩、まとめに入ります

シットウェルをみつけて拷問するシーン
シットウェルを追い詰めのに「←」、ウイングスーツで助けるのに「→」にすることで振り出しに戻る
正負のベクトルを使ってコメディリリーフやってます
遂に演出にまで使ってるんです
ビルで逃したウィンター・ソルジャーを「今度は逃がさないぞ」という意味も兼ねています

この映画には同じ物事が違う意味を持って繰り返されるシーンが何度もあります







『大統領の陰謀』より
90分まで スティーブの決意

インサイト計画を止めるためにシールド本部へ急ぐスティーブですが
高速道路に乗った瞬間「←」にカーブがかかることで、これが上手くいかず失敗に終わることが暗示されます
フューリーと同じように吹っ飛ばされても耐えるウィンター・ソルジャー
フューリーのように結局穴掘って逃げられます

第5のアクションで得る結果は「ウィンター・ソルジャーの正体」がわかることです
これによって主人公の内面で葛藤が生まれ第2の行動を選択する機会を得ます
フューリーが生きてるとわかり、スティーブはヘリキャリアだけでなくシールドも全て破壊しようと言います
ヒドラ=ナチで悪いのはアメリカではないように描いてるように見えるかもしれませんが、両方を破壊すると言うことで「腐敗したアメリカ」を倒すという意味にちゃんとなってます

「まともにドア開けろよ」と笑顔で鍵を渡すバッキー
…リーダーを任され過去を思い返すスティーブ
ここで!バッキーが「ドアの鍵」を渡すことでドアを破壊し続けてきたスティーブのテーマが綺麗に繋がり
バッキーこそが独りで走り続けるスティーブを救える唯一の人物であることがわかる!
ドアや窓を壊してきたのがギャグではなくテーマであることが証明されたシーンです


そして、スティーブはバッキーと戦うことを決意
映画の第2の目的」が決定します


『パララックス・ビュー』の洗脳映像に一瞬映るソー








マラソンマン』より
105分まで 残すは1機
「映画の第2の目的」が決まれば後はラストまで突っ走るだけです
だからドアも窓もない、ので書くこともなくなってきます


第6、最後のアクションが始まる前のスティーブの演説は
この映画で唯一の「最短距離ではない行動」です
この間ヒドラがヘリキャリアに乗り込んでますから、本当に止めたかったら出航する前にブレードを交換すればいいんです
スティーブの行動によって目的が個人から社会的なものに膨らみ最後のクライマックスが盛り上がります
スティーブを追うウィンター・ソルジャーが遂に戦闘機の窓を引き剥がします焦ってます

フューリーは自らの腐敗を公に明かすことでシールドとの決着を付けます






『コンドル』より
120分まで ウィンター・ソルジャー、スティーブを救出
キャプテン・アメリカとウィンター・ソルジャーが対決するこの戦いに意味はない

アメリカを信じて戦ってきた愛国者が大きな犠牲を払ったおかげで政府の腐敗にようやく気づけただけでスティーブも星条旗を降ろさなければ「冬の兵士」になり得たんですから
2人の関係はコインの裏表ではなく、キャプテン・アメリカの行き着く先こそが洗脳されたウィンター・ソルジャーなんですよ
またウィンター・ソルジャーが星条旗を降ろしたキャプテン・アメリカを倒したところで政府への復讐は果たされない
沈み行く船でベトナム戦争の帰還兵と間違いを繰り返したイラク戦争の帰還兵
「冬の兵士」同士が争ったところで何も解決されない
スティーブが救いの手を差し伸べたとき、ウィンター・ソルジャーはそのことに気づきキャプテン・アメリカに手を差し伸べます
現実の冬の兵士たちが得られなかった最良の救いをこの映画は最後に叶えます

サムが「その1枚で全て分かる」と言った『トラブル・マン』は歌詞の意味より歌ってるマーヴィン・ゲイ本人を調べたほうがよくわかります

ナターシャが尋問を受けていたのは国防総省です
呆れたようにその場を去るのは最近公開された『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』と繋げてみるとわかります




そして、また「冬の兵士」は生まれる…

15分解説おわり








MCU特集

MCUの原点
アイアンマン

今回扱った
MCU最高傑作
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

僕が好きな
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー






あとがき

最後まで読んでくれてありがとうございます
すいません時間かかりました
MCUの最高傑作だと言うからには相応のものになったと思います

「MCUが数年後はアメコミ映画の偏見無しに映画として評価されればいいな」
と思うなら今やってやれよ。という思いで
ずっと頭の中にあった考えを吐き出しました

『インフィニティ・ウォー』
は最初から最後までサノスの映画でしたよ
『マグノリア』+『フォーリング・ダウン』+『ゴッドファーザーPART2』だとおもって観れば最高じゃあないですか

おしまい

「#14『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』ミニッツライナー(136分)」への2件のフィードバック

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