#17『パルプ・フィクション』ミニッツライナー(154分)

ミニッツライナーとは?
映画本編ごとに止めて
「だれが」「なにをした」
かだけをずつ書いていくことで  
映画の構造をより深くたのしむ方法です
_SL1000_






こんにちは
今回は『パルプ・フィクション』をミニッツライナーしていきます
大体の映画ファンが最初に観る奴
第47回カンヌ国際映画祭コンペティション部門。パルム・ドール
第52回ゴールデングローブ賞映画部門。最優秀脚本賞
第67回アカデミー賞。脚本賞


目次

【前半】

#17『パルプ・フィクション』ミニッツライナー(154分)
読めばいつでも映画を思い出せるように「だれが」「なにをした」かだけで
2度と観なくて済むぐらい暗記できるように書きました

【後半】
まとめ&15分解説
「   遅く入って早く出ろ
 ~一生観なくて済むパルプフィクション~

『パルプ・フィクション』がもっとおもしろくなる!映画を教科書のようにわかりやすくした解説です


それではどうぞ


1994年公開『パルプ・フィクション』 上映時間154分
Pulp Fiction
監督 クエンティン・タランティーノ
脚本 クエンティン・タランティーノ
ロジャー・エイヴァリー

※数字は上映時間の分です
1.パンプキン、明日から強盗はやらないと語る
2.パンプキン、銀行強盗はラクだと語る
3.パンプキン、酒屋は警戒心が強いと語る
4.パンプキン、このレストランを強盗すると語る
5.ハニーバニーとパンプキン、客に銃を突きつける
6.タイトル
7.見えない場所でレコードが切り替えられる
8.ヴィンセント、アムステルダムでは麻薬が合法だと語る
9.ヴィンセントとジュールス、アメリカとヨーロッパの違いを語りトランクから銃を取り出す
10.ジュールス、ミアがパイロット版に出てた女優であることを明かす
11.ジュールス、マーセルスの女房に足のマッサージをした男の末路を語る
12.ヴィンセント、足のマッサージはクンニと同義だと主張
 ジュールス、足のマッサージとクンニは別物だと主張
13.ヴィンセントとジュールス、朝早く着きすぎたので奥の廊下で話の続きをする
14.ヴィンセント、ドアの前でマーセルスの女房・ミアの面倒を頼まれたことを明かす
15.ジュールス、部屋を訪ねブレットに自己紹介をする
16.ジュールス、ブレットに朝飯を質問。ハンバーガーを食べる
17.ジュールス、フランスではクォーターパウンダーチーズを何と呼ぶか質問
18.ヴィンセント、ブリーフケースの中身を確認する
19.ジュールス、ブレットの弁明を聞きながら仲間の一人を射殺
20.ジュールス、ブレットに「何?」と答えたら殺すと告げる。マーセルスは淫売かと質問。腕を撃つ
21.ジュールス、聖書を引用してブレットを射殺

パート2、ヴィンセント・ベガとマーセルス・ウォレスの妻

22.???、ブッチに時代遅れだと告げる
23.ブッチ、賄賂を受け取る
24.???、八百長を指示
25.ヴィンセント、ジュールスに明日の晩ミアに会うと明かすと笑われる
26.ヴィンセント、ブッチを挑発
27.ジョディ、ピアスを自慢
28.ヴィンセント、ランスから麻薬の買い付けをする
29.ヴィンセント、麻薬を試すことにする
30.ヴィンセント、車に傷をつけれたことを語る
31.ヴィンセント、麻薬を打つ
32.ヴィンセント、ミアの家を訪ねる
33.ミア、ヴィンセントに飲み物でも飲みながら待つように指示
34.ミア、麻薬を吸う
35.ヴィンセントとミア、ジャックラビットスリムに到着
36.ヴィンセント、ジャックラビットスリムを歩く
37.ヴィンセント、ステーキを注文
38.ヴィンセント、ミアが注文した5ドルのシェイクにはバーボンなど入ってないか質問。ミアに煙草を巻いて火を付ける
39.ヴィンセント、パイロット版に出たことを訪ねる
40.ミア、パイロット版を語る
  ヴィンセント、決め台詞を言ってほしいと頼む
41.ヴィンセント、5ドルのシェイクを飲ませてもらう
42.ミア、気まずい沈黙は嫌いだと語る
43.ミア、ヴィンセントに話題を考えておくように指示。トイレで麻薬を吸う
44.ヴィンセント、話しても怒らない約束をさせる
45.ヴィンセント、足のマッサージをした男のことを語る
46.ミア、事実ではないと反論
47.ミア、ツイストコンセントに名乗り出る
48.ヴィンセントとミア、壇上に上がる
49.ヴィンセントとミア、ツイストを踊る
50.ヴィンセントとミア、ツイストを踊る
51.ヴィンセントとミア、帰宅
52.ヴィンセント、トイレで酒を1杯飲むだけだと誓う
53.ミア、煙草を吸う
54.ミア、失神
55.ヴィンセント、ミアを乗せて車を走らせる
56.ランス、電話に出る
57.ヴィンセント、ランスの家に到着
58.ヴィンセントとランス、ミアを家に運ぶ
59.ランス、注射器を探す
60.ランス、注射器の使い方を教える
61.ヴィンセント、注射を打つ
  ミア、目を覚ます
62.ヴィンセントとミア、互いにこの事を秘密にする
63.ミア、パイロット版の決め台詞を言う
64.クーンツ大尉、ブッチ少年を訪ねる
65.クーンツ大尉、父との思い出を語る
66.クーンツ大尉、ブッチ少年の曾おじいさんが買った金時計について語る
67.クーンツ大尉、ブッチ少年のおじいさんが死に際に金時計を我が家へ送り届けたことを語る
68.クーンツ大尉、ブッチ少年の父が金時計を尻の穴に入れて隠したこと。自らも金時計を尻の穴に隠したことを語り金時計を渡す

パート3、黄金の時計

69.ブッチ、控え室を出る
 ウィルソン入場のアナウンスの声がウィルソン死亡を伝えるラジオに切り替えられる

70.ブッチ、逃亡
71.マーセルス、ブッチを追うように指示
72.タクシーの運転手、ブッチに人を殺すとどんな気分か質問
73.ブッチとエスメラルダ、互いに名前を教え合う
74.ブッチ、悪かったとは思わないと答える
75.ブッチ、スコティに電話をかけ落ち合う約束をする
76.ブッチ、エスメラルダに賄賂を渡してモーテルに帰る
77.ファビアン、お腹が出てる方がいいと語る
78.ブッチ、お腹が出たらパンチを入れると答える
79.ブッチ、ファビアンに一緒に逃げると約束する
80.ブッチ、ファビアンにクンニする
81.ブッチとファビアン、シャワーを浴びる
82.ブッチ、ファビアンにメキシコ語を教える
83.ブッチ、『殴り込みライダー部隊』の音で目が覚める
84.ファビアン、ブッチをベッドから追い出す
85.ファビアン、朝飯の話をする
 ブッチ、金時計を無くす
86.ブッチ、テレビを投げる
87.ブッチ、ファビアンに謝る
88.ブッチ、パンケーキ代を置いてモーテルを出る
89.ブッチ、車を降りてアパートへ向かう
90.ブッチ、鍵を開ける
91.ブッチ、金時計を手に入れる
92.ブッチ、銃をみつけヴィンセントを射殺
93.ブッチ、部屋を出る
94.ブッチ、アパートを去る
95.ブッチ、マーセルスを車で轢いて接触事故を起こす
96.マーセルス、ブッチを銃撃
97.ブッチ、質屋でマーセルスに銃を突きつける
 メイナード、ブッチを気絶させる
98.メイナード、ゼッドを電話で呼び出しブッチとマーセルスを拘束
99.メイナード、ゼッドを招き入れる
100.メイナード、覆面を起こす
101.ゼッド、どっちを先にやるか選ぶ
102.ゼッド、マーセルスを奥の部屋に運ぶ
103.ブッチ、拘束をとき覆面を殴って逃亡
104.ブッチ、質屋を出ずに武器を選ぶ
105.ブッチ、奥の部屋へ向かう
106.ブッチ、メイナードを刺殺
107.マーセルス、ゼッドを撃つ。これからどうするか語る
108.マーセルス、互いにこの事を秘密にする
109.マーセルス、ブッチに別れを告げる
110.ブッチ、モーテルに戻る
111.ブッチ、ファビアンに謝る

パート4、ボニーの一件

112.4番目の男、銃を握る
113.ジュールス、ブレットを射殺。マーヴィンを黙らせる
114.ヴィンセントとジュールス、4番目の男の襲撃を逃れる
115.ジュールス、神の力が働いたと主張
116.ヴィンセント、マーヴィンを射殺
117.ジュールス、ジミーに電話をかける
118.ジュールス、ジミー第一で行動しろと主張
  ヴィンセント、無理だと主張
  ジュールス、ジミーのタオルを汚すなと怒る
119.ジミー、家の前に「黒人野郎の死体預かります」の看板が立っていたかと質問
120.ジミー、1時間後に女房が帰って来ることを明かす
121.ジュールス、マーセルスに電話をかけ助っ人を頼む
122.ウルフ、電話の内容をメモする
123.ウルフ、ジミーの家を訪ねる
124.ウルフ、車の様子を見る
125.ウルフ、ジミーに洗剤とタオルを用意。ヴィンセントとジュールスに車を掃除するように指示
126.ヴィンセント、ウルフに命令調は嫌いだと主張
127.ジミー、ウルフに特別なタオルだと語る
128.ウルフ、ジミーに金を渡す
129.ヴィンセントとジュールス、車の掃除を終える
130.ウルフ、ヴィンセントとジュールスに服を脱がせ石鹸を渡す
131.ウルフ、ヴィンセントとジュールスに放水
   ジミー、タオルとTシャツを渡す
132.ウルフ、車を廃車場に出す
133.ウルフ、去る

パート5、エピローグ

134.ヴィンセントとジュールス、ウルフの仕事ぶり。汚れた動物を食うか食わないかを語る
135.ヴィンセント、ブタが利口なら食べるのかと質問
136.ジュールス、神の存在を感じたと語る
137.ジュールス、仕事を辞めた後のことを語る
  パンプキン、ギャルソンにコーヒーを頼む
138.ヴィンセント、トイレに行く
  ハニーバニーとパンプキン、客に銃を突きつける
139.パンプキン、店主に銃を突きつける
140.パンプキン、客の財布を回収して回る
  ジュールス、撃鉄を引く
141.パンプキン、ジュールスにブリーフケースを開けろと指示
142.ジュールス、ブリーフケースを開ける
143.ジュールス、パンプキンに銃を突きつける
144.ジュールス、ハニーバニーを黙らせる
145.ヴィンセント、ハニーバニーに銃を突きつける
146.ジュールス、パンプキンに自分の財布の中身を数えさせ渡す
147.ジュールス、パンプキンに今の金で何を買ったか質問し聖書を引用し始める
148.ジュールス、その意味について今朝気づいた考えを語る
149.ジュールス、撃鉄を戻しハニーバニーとパンプキンを帰す
150.ヴィンセントとジュールス、レストランを出る
151.エンドロール
152.エンドロール
153.エンドロール
154.エンドロール







まとめ

20分 二人組には要注意
30 ヴィンセント、ミアに会う
45 ヴィンセント、足のマッサージをした男を語る
60 ヴィンセント、ミアを蘇生させる
~1時間
75分 ブッチ、逃げる
90分 ブッチ、自宅に戻る
105分 ブッチ、マーセルスを助ける
120分 ジミー登場
~2時間
135分 ジュールス、神の存在について考える
150分 ジュールス、聖書の意味に答えを出す








15分解説
 遅く入って早く出ろ
~一生観なくて済むパルプフィクション~

『パルプ・フィクション』のストーリーをわかりやすく言い表した言葉は脚本の1ページ目に既に
  THREE STORIES…
 ABOUT ONE STORY…
1つの物語に関する3つの話」と書かれている
これが、この映画のストーリー構成です
次に、
「何の映画か」答えは最初と最後にある
ジュールスがブリーフケースを回収する」物話から始まり
ジュールスの相棒はどんな奴か?
その相棒の末路は?
と探る内に全てがボス・マーセルスに繋がる
こうして3つの話が作られている

また、脚本のテクニックに関して言えば全てのシークエンスは「遅く入って早く出ろ」で書かれている

「起」では何も起こらず緩やかに始まり
「承」でも何も始まらず
「転」で突然、本来は承に在るべきシークエンスの問題を提示し間を置かずにすぐ様
「結」を繰り出し解決することでオチが尽きこのシークエンスが何を言いたかったのか?の結論を出す

「起」「承」までは何も起こさずダラダラと続き最後に「転」「結」を素早く出す
シークエンスの一番伝えたかったことは一番最後に書かれている
これが「遅く入って早く出ろ」のテクニックだ(本当は別の意味で使われる言葉ですが代弁できる言葉が無かったので僕はこう言っています。本来の意味で使われる作品はまた次の機会に取り上げるとする。あまり気にしないでください)

『パルプ・フィクション』の全てのシークエンスは、この「遅く入って早く出ろ」で書かれている
今回はこれを踏まえたうえで15分ごとの構成を考えていきます
時系列シャッフルのことは…もういいでしょう。







20分まで 二人組には要注意
最初の20分は「映画の紹介」です。ここでは主人公、映画の基本的なスタイル、ラストまで扱う情報、この3つが紹介されます

まずはハニーバニーとパンプキンから
過去の事例を挙げながら産業によって強盗のリスクが違うという話をする
何処にも着地しない中、急に今居るレストランが標的になり単調とした空気を遮るように「ガチャン」と大きな音を立てて銃をテーブルの上に置き強盗が始まる
正に、「遅く入って早く出ろ」のスタイルで書かれている
このシークエンスで言いたかったのは「ハニーバニーとパンプキン、店で強盗をする」

そして画面が真っ暗闇になりタイトルとクレジットが流れはじめると
突然見えない場所でレコードが勝手に切り替えられる
すると、いつの間にかヴィンセントとジュールスのシーンに場面転換する

時系列は観客の気づかぬ間にシャッフルされる

映画が始まり、ハニーバニーとパンプキンの強盗~タイトルのわずか6分で
「遅く入って早く出ろ」のスタイル
時系列シャッフル
が紹介され
そして、観客には「二人組」が「長い話」をすることは何か危険な事が起こる前触れであることが印象付けられます

次のシーンはヴィンセントがアメリカとヨーロッパの違いを話すことから始まり、トランクから銃を取り出す
さっきと全く同じ状況で「二人組」の「長い話」が繰り返されることで、また何か危険なことが起きる。と観客を身構えさせます
…しかし
何時まで経っても事件は起こらず、むしろ時間が早すぎるからと言って登場人物が率先して話を延長しだす
あきらかにこれは「無駄話」ですよと言っているのであって、これも映画の1つの要素であることを紹介しています

そして、ジュールスがブリーフケースを取り戻しブレットを射殺することで「パート1、プロローグ」が終わる
ここまでで新たに紹介された要素は
無駄話
それと実は話の中に「ミア」や「クンニ」「朝飯」「尻の穴」といった今後の伏線になるワードが仕込まれています

映画が始まって20分で、パルプ・フィクションの基本的な要素が紹介し尽くされます







30分まで ヴィンセント、ミアに会う
「パート2、ヴィンセント・ベガとマーセルス・ウォレスの妻」が幕を開け、いよいよ3つの話が始まる
ヴィンセント
ブッチ
ジュールス
のエピソードが約45分おきに語られ、15分ごとに序破急で何かが起きる三幕構成になっている

ここから上映時間1時間までは1つ目の話ヴィンセントのエピソードが語られる
ヴィンセントが麻薬を打つことから始まり、訪ねた先のミアも麻薬を吸っていることで
様々なディティールが登場し複雑に見えるこのエピソードのストーリーの本筋が「麻薬」であることを最初に設定されている







45分まで ヴィンセント、足のマッサージをした男を語る
序破急で言うなら「」に当たる15分間です
ミアと店に向かい「ステーキ」やら「
5ドルのシェイク」やら「パイロット版」やら色々出てきますが、それら全ての会話をこなしても沈黙だけは気まずいという流れになっていきます
そこで、トイレに行っている間に話題を考えておくように提案することで
ミアは麻薬を多量に摂取し、ヴィンセントは足のマッサージをした男の末路を話しに持ち出す
あくまで緩やかな会話の一部にされていますが
このせいでミアは失神し、ヴィンセントは同じ末路を辿るかもしれません
起承転結の「」に当たる。シークエンスが解決すべき問題を提示しています






60分まで ヴィンセント、ミアを蘇生させる
踊ります。

いいキブンで帰宅したヴィンセントはトイレで葛藤します。手を出せば同じ末路を辿ることに気づき始め、なんとか衝動を抑えることに成功します
しかし、話の流れと関係なく何の前触れなくミアが失神。予想外の形で「」が訪れ、トニーが窓から落とされた本当の理由がわかります
」でランスの家に向かって、どうしようかのドタバタ劇がなんか続きますが注射刺したら治ります
提示された問題は葛藤や弊害なく即解決する
「転」から「結」がはやい「遅く入って早く出ろ」が最も効果的に使われている代表的なエピソードです







75分まで ブッチ、逃げる
2つ目の話
ブッチのエピソードです
クーンツ大尉の回想もずっと良い話をしていたのに、突然「尻の穴」に入れていたと言われそれを渡される
ここでも、「遅く入って早く出ろ」です

僕がこの映画を2時間にするならこのエピソードを削るでしょう
実はこのエピソードだけ本編から独立しています。時系列の一番最後だというのもあるんですが
タイトルカードで「ウィルソン入場のアナウンスの声」が流れると次の瞬間には「ウィルソン死亡を伝えるラジオ」にジャンプさせられる
冒頭でやったレコードの切り替えをもう一度やって見せています。ルール説明のようなもの繰り返すということは全く別の新しい物語であること意味しています

それともう1つ、この映画で「言葉で語られるだけで映らず、何が原因でそうなったのか一切触れられていない過去の出来事」は「マーセルスのブリーフケースが取られた」話と「ブッチがウィルソンを殺した」話。この2つだけです
前者は映画全体にかかっていますが、後者はこのエピソードのことだけで完結していて他のエピソードとは何も関連していません
じゃあ、このエピソードは不要で完全に切り離せるのかというとそうでもありません。このエピソードには、これまでに映画全体で提示されていた伏線に答えを出すという役割を持っています
なので、切る必要はないですし。そもそも2時間にまとめる必要もありません

このエピソードではその話をしていきます







90分まで ブッチ、自宅に戻る
モーテルに戻ってファビアンの元へ帰るブッチ
ここで、ヴィセントとジュールスが話していた「クンニ」と「朝飯」が伏線になって出てきます。前者は実現され、後者は食べられなかった
それと、車でモーテルに戻り、室内で事件が起きて、解決のために車を走らせる。というのはさっきのヴィンセントのエピソードの流れそのままです
上映時間1時間が過ぎたところで今までの出来事を総括、まとめるような流れになっているのと同時に
一つ前のエピソードを繰り返すということは、さっきと同じでまだ何も起きていない。「無駄話」のうちに過ぎない。ということです
」で「黄金の時計」について語られ
」で、それを取り戻す目的ができる
しかし、それはすぐに解決されてしまうからです。まだ本題には入ってないんです






105分まで ブッチ、マーセルスを助ける
「転」、ヴィンセントに遭遇

話の流れと関係なく何の前触れなくブッチは遭遇し、提示された問題は葛藤や弊害なく即解決するルールに則りヴィンセントはあっさり死にます
さっきのヴィンセントのエピソードを経験した観客は、このルールが身にしみているので「この流れがあるってことは、もう終わりだろう」と油断します

そして本当の「転」、マーセルスに遭遇

映画が始まって初めてマーセルスの顔が映ります
ドタバタ劇の後、質屋でマーセルスを追い詰め一件落着かと思いきや…

これが本当の「」!拷問部屋に監禁

最初にジュールスが冗談で口にし、このエピソードでクーンツ大尉が黄金の時計を守った「尻の穴」が犯されます
難を逃れ質屋を出ようとするブッチは立ち止まります。そう、代々先祖が守ってきた黄金の時計とはマーセルスの尻の穴だったのです
自らも命を懸けて戦場で戦うことで、今朝夢見た自分だけの「黄金の時計」を入手します。

ブッチのエピソードでは「遅く入って早く出ろ」を抑えながら
最後に「」「」「」と話を3転させるのが特徴で
それぞれ、フェイクの小ネタ。このエピソードのテーマ。解決すべき問題。とちゃんと意味も持たせています
なので、3つのエピソードの中で一番長くなっています






120分まで ジミー登場
上映時間の2時間丁度に監督が出演します。くだらないですね
そういえばこのパートのタイトルは「ボニーの一件
しかし、ボニーは最後まで出て来ない。むしろ、あまりに話しに関わって来ないので何か別のタイトルが付いていてもいいように思える
脚本の目次には
(脚本に目次が付いているというのも、この映画の発明なのだ!)
ジュールスとヴィンセントとジミーとウルフと(JULES, VINCENT, JIMMIE & THE WOLF)」
と書かれている。登場した人物をただ順に並べただけで捻りも面白みもない
要するにこのパートには意味がないということを言っているんです

ここまで意外性、意外性で進んできたドラマを映画のラストに向けて盛り上げる為に一旦トーンを落とす必要があるからです

そのために3番目の話ジュールスのエピソードでは
」でジュールスが神の存在を感じるキッカケとなる事件に出会った後
」でジュールスが仕事を辞めるとマーセルスに直談判する目的が決まったかとおもうと
いきなりヴィンセントが誤射。これまでのエピソードでは必ず室内で起きていた事件が手前の車内で起きる
」レベルの衝撃が「」きることで
この死体をどうにかしなければならない」これがこのエピソードが解決すべき問題になってしまいます
そして「」、死体を隠す為にジミーの家に向かわなくてならなくなり
ここで、もうじきボニーが帰ってくるのでそれまでに解決しなければならない目的ができます



ボニーの一件であってるじゃねーか!







135分まで ジュールス、神の存在について考える
(マーセルスとミアが必要もなくもう一度映るカットがあるので、さっきの論はまあまあ合ってるのでは…痛て!)
」でウルフがやってきます
さて、どんなプロの技で処理するのかと期待するも至って普通
意外性も何もなく「」で車を廃車場に出して解決

ジュールスのエピソードは45分の半分で「ボニーの一件」が終わる。エピソードの途中に無理矢理別のエピソードを割り込ませているのが特徴
後半はレストランでジュールスが今朝言いかけた「承」の仕事を辞める話の続きをします
ヴィンセントに反対され本当にこれでいいのかとジュールスの中で最後の葛藤が生まれます






150分まで ジュールス、聖書の意味に答えを出す
」、ハニーバニーとパンプキンが客に銃を突きつけることで映画の最初と最後が繋がる大転換が起きます
これを機にジュールスは激鉄を引き状況を打破しようと企みます
」誰かに隠し事をし続けることで擬似的に解決するのでもなく、半ば許しを請う為に人を殺して解決するのでもなく
暴力を使わずに言葉で他者を納得させることで解決する
長い時間多くの言葉を尽くしてきた映画が出した答えは
3つのエピソードの中で最も賢く本当の意味で人を改心させた





15分解説終わり






あとがき

今日の映画文化・映画脚本の影響において、タランティーノを避けて通ることはできない
でも、豆知識とか裏話は散々言われてきたからやらない
前回取り上げた『スリー・ビルボード』の監督マーティン・マクドナーがインタビューでタランティーノのファンだと答えていたので、その続きで書くには一番丁度いい時期だと思い今回書きました
おそらくタランティーノが彼の脚本スタイルに一番影響を与えているのが、15分解説のまえがきで話した「遅く入って早く出ろ」の手法だと思います
一番いい例が名シーン・ディクソンがエビング広告社を襲撃するシーンです
ウィロビーの訃報を知り泣き崩れる。エビング広告社へ向かう。レッドを殴って窓から放り出す。パメラを殴る。レッドを忠告する。
実は最後に、よく見ると次の署長のアバークロンビーがベルトに手を当ててチラッとバッヂを見せています
このシーンの結論は「ウィロビーが死んでアバークロンビーが署長になる」です
彼の脚本は、キャラクターが起こしたアクションがそのシーンの最後に必ず「何をしたかったのか」「結果どうなったのか」のリアクションが帰ってくるようになっています

ミニッツライナーをやっていて一番得するのは、シーンとシーンがどの順番で繋がっていたかを脳内で索引するように鮮明に思い出せることです
今回はその感覚を直接伝えようとして書いたので本当に一生観なくていいぐらい覚えてしまった
あ、午前十時の映画祭は行くけどね
田舎の平成チルドレンには原体験は貴重なんですよ



おしまい



予告

3部作映画特集
PART1

70~80年代にかけて大ヒットした古典的三部作映画のパート1をミニッツライナーしていきます!

第1回   『バック・トゥ・ザ・フューチャー

第2回      『ゴッドファーザー

第3回      『スター・ウォーズ


おたのしみに!

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